愛に時間を

劇場版Zについての雑感。


 J・P・ホーガン『星を継ぐもの』、P・J・ファーマー『恋人たち』と来て”星の鼓動は愛”ですか……
 ので勝手に第3部っぽいタイトルにしてみた。R・A・ハインラインね。元の邦題は反語的な訳の気がするけれど。
 だいたい1と3で”星”が被ってるじゃんよ。真面目にタイトル考えたのかね。




星を継ぐ者
 はっきり言って、退屈だと思う。Zを観たことない人が、第2部と第3部を観るつもりならイントロダクションとしての価値はあるかも知れないけれど。新作のカットはかなり少ない挿入だったり、塗りなおしが多く、希少といえる。ラストのロザミア、ブランとの戦闘でやっと新作カットをメインに構成された映像が観られる。が、モビルスーツ戦闘マニアでもなければ、はっきり言って人間ドラマ部分でやってくれ、と思うところだろう。
 まあ、シャアとアムロの再会シーンだけでもその価値はあるか。


■恋人たち
 これは全編にわたって言えることだが、50話もの長尺(25分/1話で計算しても20時間超)のストーリィを2時間弱×3本に纏めたことで、不自然な印象になったり、魅力が減じているのは疑いようがない。
 カミーユやシャアたちが物凄い浮ついた人間に見えるかもしれない(フォウもか)が、TVシリーズで観るとある程度の段階は踏んでいるし、劇中での時間経過(これの省略が劇場版は多い、時にはモビルスーツでの戦闘中に省略されたりもする)もある。
 ヘンケンとエマがいちゃいちゃするのは劇場版ならでは。TV版ではヘンケンのギャグ程度しかない。
 第1部よりは新作のカット多め。悪くない出来だと思う。


星の鼓動は愛
 新作カット大量導入。それ目当てなら3部作で唯一、観る価値がある作品。
 やはり一番のポイントはエンディングがTV版から大きく変えられている点でしょう。カミーユが(ある種の)幸せな結末を迎えるというのは、やはり”映画”というメディアを意識したためでしょうか。それとも『酔拳2』みたいに何らかのコードにひっかかった?
 でもこれだと最後がファーストとどうしても被るよなあ。
 映画ならでは、という観点で、ヘンケンとエマに関しても何か許せる気がしてきました。




TVバージョンとの相違点を纏めると、

  • ヘンケンとエマがベタベタしている(またそれか!)
  • ジェリドの扱いが本当に要らないやつになってる
  • 中盤〜終盤のストーリィが大幅カット、ヤザンの出番も同じく(泣)
  • ロザミアの「お兄ちゃーん」もほとんどカット

とまあ、不要な点をカットしているのは好ましい部分も多いのですが。


総評としては、時間があったらTV放映版を観た方がいい。劇場版はおまけ程度。
期待しない方がいい、という結論にございますです。